「身死して財(たから)残ることは……」徒然草に見る「断捨離」
遺産を巡って家族がいさかいを起こすのはよくあること。
「『我こそ得め』などと言ふ者どもありて、跡(あと)に争いたる、様あし」と徒然草にあります。(第百四十段)
今も昔も「自分にはもらう権利がある」などと主張する者が現れる。
そこで法師は「生けらむうちにぞ譲るべき」(生前に譲渡しておく)のがよいと続けています。
現代、生前贈与には法的な限界もあるようですが。
では、どうすればよいのか。
「朝夕なくてかなはざらむ物こそあらめ、その外(ほか)は何も持たでぞあらまほしき」
日常不可欠の品々はあってもよいが、そのほかには何も所持しないのが理想的なのである、ということです。
実際はそうもいかないことが多いですが。
『徒然草』は私たち世代の生き方の指南書です。なるほどと考えさせらることが多いです。