にっきにゃっき日記

あまり決めずにいろいろ書いています。気が向いたら覗いてください。うれしいです。

スミシーとポーラ、『心の旅路』を観て

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これも撮りためた映画の一本。

 

日本での公開が1947年というから、終戦後間もないころの映画です。自分もまだ生まれていません。

 

原作は『チップス先生さようなら』のジェームズ・ヒルトン作の小説。

 

こんな昔の映画はあまり観たことがないし、モノクロなので途中で観るのをやめるかなと思い、正直あまり期待をしていませんでした。

 

けれどもその予想は良い方に外れました。観終わった映画なのに、毎日のように良いシーンをその後何度も繰り返し観ているのです。

 

観るたびに感動がよみがえります。特にラストシーンは見るたびに胸がいっぱいになって、ほろっと涙してしまう体です。

 

時代は、第一次世界大戦終戦直前のこと。

 

戦闘による神経性のショックでそれまでの記憶をなくして、リバプール郊外の病院に収容された男が病院から逃げ出します。男は仮の名前でスミスと呼ばれていました。

 

彷徨っているところを、踊り子で芸名をポーラという女性と出会い保護されて、療養のため田舎町へ逃避行します。しかしスミスの記憶はもどりません。

 

やがて二人は互いを、スミシー、ポーラと呼び合い、その地で結ばれて幸せな家庭を築いていきますが、3年たったある日転機が訪れお互い離れ離れになってしまうのです。

 

スミシーが事故に遭って、今度は戦前の記憶が蘇った代わりに、最近3年間の記憶をなくしてしまいます。

 

(記憶をそんなふうになくしたり、蘇ることなんてあるの?と突っ込みたくなるが、それが映画というものでしょう)

 

スミシーは、その後裕福な実家に戻り順風満帆の人生を歩み、ポーラは苦労して男を探します。

 

やがて意外な方法で、ポーラはスミスと再会し、前とは違う立場で身近で過ごすことになるのですが、スミシーはポーラを目の前にしても全く思い出しません。

 

ここからポーラの苦悩が始まります。

 

外的な刺激ではなく、内的な刺激でなければ喪失した記憶は戻らないと医師からアドバイスを受けていたポーラ。無力な自分、でもスミシーへの想いは募る一方です。

 

しかし、運命の女神が微笑みます。あることがきっかけで、次第にスミシーは記憶を手繰り寄せていき、そして結局、離れてから十年以上をかけて二人は思い出深い場所で本当の再会を果たしたのです、とうとう。

 

「スミシー!オー、ダーリン」「ポーラ!」懐かしい名前でお互いを呼び合い、抱き合う。あとは言葉にならず、ただ、小さな家と庭と桜の花が二人を優しく見守っている……

 

 

ちなみに、この映画は同じように当時イギリスで制作されたアメリカ映画のひとつらしいです。

 

当時の映画事情に疎いのでよくわかりませんが、主演のロナルド・コールマンと、グリア・ガースンは、当時人気があったとのことでなるほど演技も光っています。